総評

本コンクールは、ユネスコが2019年に3月14日を「国際数学の日」に制定したことを記念して企画したもので、文部科学省が実施する「ユネスコ未来共創プラットフォーム事業」の一環として実施いたしました。国内外を問わず、中等教育段階の生徒を対象に、「数学と社会のつながり」をテーマにポスターや動画を募り、「国内外の中等教育段階の生徒が、数学と社会とのつながりについての理解を深め、数学を学ぶことへの関心・意欲を高めるきっかけとなること」「受賞作品の公表を通じて、国を超えた若者の知恵の交換と異文化の交流となること」を目的といたしました。
今回は、事業の準備や応募期間がたいへん短い状況ではありましたが、おかげさまでポスター125点、動画22点の作品が寄せられました。これもひとえに、SDGsへの理解を深め、活動する取り組みを積極的に行っていらっしゃる指導者の方々のご協力の賜と深く感謝いたします。
応募くださった作品は、いずれも秀作ぞろいで、社会課題と数学を関連づけたもの、自然や文化・音楽・スポーツなどに学んだ数学を見出そうとしたものなど、バリエーション豊かで「10歳代のさまざまな視点」を感じさせてくれました。中等教育段階の生徒の制作する動画のでき栄えも特筆すべき点です。
本コンクールを通じて、とくに若い人たちへのSDGsをはじめとする、さまざまな社会課題への理解がさらに深まり、持続可能な社会に向けた取り組みがより一層広がることを祈念いたします。
公益財団法人 日本数学検定協会
理事長 清水 静海

優秀作品一覧

※作品には、一部英語の誤表記があります。

ポスター

優秀作品 審査員各賞(10点)

生重審査員賞

MATH × Ino Tadataka

MATH × Ino Tadataka

大橋 紡さん
(東京成徳大学高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
天文学者・地理学者・測量家である伊能忠敬は、17年かけて日本の国土の正確な姿を明らかにした人で、その業績は中学生・高校生や大人にも身近な数学活用の例としてわかりやすいと思いました。

身近な数字と白銀比

身近な数字と白銀比

兼子 優美子さん
(大阪市立水都国際高等学校2年、大阪府)

<審査員の講評>
数式に苦悩するキャラクタや銀紙を思わせる紙の工夫が印象的です。キャラクタがアニメーションで動き出して、法隆寺にたどり着き五重の塔の前で、聖徳太子に出会うところを想像して楽しくなりました。

小巻審査員賞

Origami cranes are made of mathematics

Origami cranes are made of mathematics

大久保 奏佑さん、岡田 旭彦さん、堀田 知弥さん、元田 堅心さん
(三田国際学園高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
「折り紙国際会議」が定期的に開催されるほど、幾何学的な探求対象としても可能性を秘めている折り紙を題材に、色、デザインともにシンプルながらインパクトのある作品です。制作者の意図があったのかはわかりませんが、鶴にはSDGsのめざす持続可能な世界、平和のシンボリックなイメージが重なりとても印象に残りました。

MATH & TETRON

MATH & TETRON

染谷 美吹さん
(東京成徳大学高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
学生世代に受け入れやすいTETRONゲームを題材に、プレイヤとプログラマの 双方の視点から一瞬にして数学的な考察に触れることになってしまう短い問いかけが効果的です。また、色使いや構図も美しく、思わず見入ってしまい魅了されました。

佐藤審査員賞

Mathematics is a beautiful tradition.

Mathematics is a beautiful tradition

山崎 瑠璃香さん
(鵠沼高等学校2年、神奈川県)

<審査員の講評>
日本の伝統美に多くの幾何学的なデザインが採用されていることを強調している作品です。洗練された美しさに内在する日本文化と数学のつながりを表現しており、国際的なメッセージとしても評価します。

Let’s integral

Let's integral

藤本 彩花さん、穴田 美空さん
(福岡工業大学附属城東高等学校2年、福岡県)

<審査員の講評>
文法的には必ずしも正しいとは言えませんが、数学の積分の発想をこれからの社会課題解決にむけて力を持ち寄る発想へと関連づけている点を評価したいと思いました。

篠崎審査員賞

数学と他教科の繋がり

数学と他教科の繋がり

田代 結香さん、内田 結菜さん
(淑徳与野高校2年、埼玉県)

<審査員の講評>
生徒にとって身近である他教科と数学との関わりが、具体的にわかりやすく表現されていて驚きました。とくに国語、英語との結びつきに図形を用いる感性がすばらしいです。まさに数学が他分野と手を取り合い、協力して未来へ生かされていくイメージが作品全体から伝わります。

Shapes made with chords

Let's integral

鈴木 萌果さん
(東京成徳大学高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
音楽と数学との関わりをパステルカラーの明るくポップな色合いで表現することで、身近にある数学と楽しく関わっている様子が感じられました。和音を三角形で表し、同じ音をつなぎ合わせてメビウスの輪を作る過程がとてもわかりやすく表現されています。
メビウスの輪をイラストではなく実際に作成し、実践している点もすばらしい作品です。

清水審査員賞

Probability of personal belongings

MATH × Ino Tadataka

相馬 琢人さん
(東京成徳大学高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
特定の人やものでなく、誰にでも起こり得る事象に対する確率を表していることがおもしろい作品です。数学的に計算して求められる確率と、データに基づいて統計的に算出した確率の両方を示していることも興味深いです。

Striped pattern

Striped pattern

長尾 凪紗さん
(東京成徳大学高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
陸と海の動物の模様を偏微分方程式で表現されることが端的に分かる作品です 。生物学と数学が結ばれていることがとても分かりやすいと感じました。

日本数学検定協会賞(1点)

World of Hz

Word of Hz

大城 明生さん
(三田国際学園中学校2年、東京都)

<日本数学検定協会 の講評>
周波数と数学の関係について、視覚的にも内容的にもパッと目を引くポスターです。 QRコードのフィボナッチソングは大人っぽさの中に広がっていく余韻があり、フィボナッチに聴いてもらいたいですね。

SDGsプラットフォーム賞(1点)

ただ解くだけじゃない!意外と身近な数学の世界

ただ解くだけじゃない! 意外と身近な数学の世界

松﨑 浩隼 さん
(三田国際学園中学校 2年、 東京都)

<SDGsプラットフォーム の講評>
数学にとくに興味関心のない人であれば、「美しい作品・建築だなあ」で済まされてしまうものについて、双曲線によるデザインであるとの意識をもたらしたセンスを評価します。直線が曲線を構成できていること、 円柱が変形して双曲線による立体になることの説明があることも高評価のポイントです。

動画

優秀作品 審査員各賞(5点)

生重審査員賞

数学は世界言語

宮内 唯衣 さん
(慶應義塾湘南藤沢高等部3年 、 神奈川県)

<審査員の講評>
「言語の壁を超えて数学は世界共通であり最強の学問だ!」というようなメッセージがストレートに伝わってくる作品です。親しみの持てるアニメーションによる表現で、子どもから大人まで理解しやすい作品でもあります。

小巻審査員賞

Dogs face×Ellipse

古川 万里子さん
(東京成徳大学高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
ペットの柴犬を題材にした愛情あるアプローチに温かさを感じました。楕円の組み合わせでデザインができあがっていくプロセスを見ていると、組み合わせ方、距離の取り方などデータ分析から愛されるキャラクター開発にもつながります。また、最後のメッセージは「不完全な円」ともいえる楕円が回転することでできている地球だから、多様な国や文化が触れ合うことで一つの星として平和が実現できるのではないか、と受け取りました。深いです。

佐藤審査員賞

Let’s think about Corona virus mathematically

高校1年E組 殷 弥侑さん、井沢 百寧さん、今井 心美さん、増田 苺さん
(三田国際学園高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
COVID-19パンデミックの現象について、多角的な視点からその影響とリスクを、数学を持いることにより可視化させています。東京を事例に数字的意味づけを行うことで、より具体性とメッセージ性が高まっています。動画の制作技術(ナレーション、動画技術、音楽、アニメーションなど)のレベルが高く、審査員としては作者の継続的な制作を期待したくなる作品です。

篠崎審査員賞

SDGs×Mathematics = Effective Disaster Prevention

室戸高等学校1-2Hさん
(高知県立室戸高等学校1年、高知県)

<審査員の講評>
災害に備え、誰も取り残さず命を守るために数学を活用しようとする着眼点が非常にすばらしいです。実験からスタートし考察までの過程が、映像と音楽と編集でテンポよまとめられていました。 みなさんが真剣に取り組んだ様子が作品全体から伝わってきます。

清水審査員賞

UM(Use Mathematics)

三上 優文さん、森 駿介さん
(三田国際学園高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
2進数が身近なコンピュータに使われていることがわかりやすく紹介されてい る作品です。0と1だけでスマートフォンやパソコンが動くことを他の人に伝えることで興味を持つ動画でした。

日本数学検定協会賞(1点)

Is the math useful in the future?

井上 颯子さん、葛木 美奈さん、西川 玲奈さん、平形 日瑚 さん
(三田国際学園高等学校 1年 、 東京都 )

<日本数学検定協会の講評>
紀元前の数学者ピタゴラスの言葉「万物は数である」を引用し、そこから写真家、シェフ、プロゴルファーという一見、数学に関わりがなさそうな職業に対して、高校で学ぶ数学とのつながりを割合で示しています。これを機に、多くの職業と数学との関わりに興味をもってくれること期待して選出しました。

SDGsプラットフォーム賞(1点)

One-third magic

吉澤 未来さん、野村 実優さん、鈴木 愛美理さん
(三田国際学園高等学校1年、東京都)

<審査員の講評>
「循環小数」に関係する不思議自体は数学関係者の間では言い古されてきたことですが、「国際数学の日」が生まれた日を祝うところからバースデーケーキに結びつけ、それを三分割してこのテーマに繋げ、数学に馴染みのない人にもその不思議を伝えようとする意図を高く評価します。